介護施設で行う自立支援介護とは?

高齢者の日常生活では、自身でできることを自分で行い、できないことを介護職がケアします。介護職が行う自立支援介護は、介護を受ける方の心身の状況によって異なりますが、自立のためには「水分の摂取」「栄養の摂取」「適切な運動」「自然排便」の4つが基本的な支援として重要です。つまり、こまめな水分補給を助け、必要な栄養が摂取できるよう食事に配慮し、筋肉の衰えを防ぎ食欲を高めるための運動を行い、便秘にならないように注意することが基本となります。

その上で、日常生活に役立つリハビリテーションや、楽しく運動や活動を行うレクリエーション、専門家による筋力向上トレーニングの提供が行われます。体がうまく動かない方には機能訓練などを行い、自分でできる生活行動の範囲を広げたり、要介護度が進まないように取り組みます。しかし、介護の現場では、しばしば自立支援自体が目的となっている場合があるため、注意が必要です。自立支援介護の目的は、利用者のQOLを向上させ、自分らしく生活できるよう支援することです。このため、何のためのリハビリテーションや訓練なのか目標を明確にし、介護職と利用者の両方が理解することが重要です。

目標は小さなことでも構いません。たとえば、片側マヒの利用者であれば、動く方の手を使って服を着たり脱いだりできるようにすることも目標となります。一日中座りっぱなしの利用者であれば、10分間の散歩を習慣にすることも大きな励みになります。自立支援介護は無理せず小さな変化から始め、利用者のQOL向上を支援する重要な使命です。〈参照/自立支援:高齢者のための新しい一歩